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8.仏の微笑み ~悲しさを慈しむ~

 みなさんは自分の笑顔に気付いたことがありますか。それはどんな時でしょう。四六時中、鏡を見ているわけではありませんから、自分がどんな時、どんな笑顔になるのか、気付くことはなかなかありません。

笑顔といえば赤ちゃんが分かりやすいのかも知れません。赤ちゃんは機嫌がいいと笑顔になります。反対に機嫌が悪いと泣いて知らせます。お腹がいっぱいの時、たっぷりと睡眠をとっている時、上手に抱っこしてもらっている時、暑くもなく寒くもない時、そうした時々にさまざまな笑顔を見せてくれます。身も心も満足して、ここが自分の居場所なんだと安心しているからです。泣くのはどこか満足できずに不安を感じているからでしょう。

誰しも、いつも笑顔で暮らしていたいと思います。最高の笑顔で他人と接したいと思っています。でも、そうならないのが人間の営みです。一生懸命にまじめに生きてきたつもりでも、いや だからこそ、「誰か私を認めてくれ、褒めてくれ」と地位や名誉、財産や愛情を欲しがります。あるいは不満をぶちまけ怒りを顕わにします。人生に行き詰まり自暴自棄になることもあります。そして笑顔を失います。笑えないから、怒ってみたり、泣き叫んでみたりします。笑顔になれない自分に不安を抱くからです、笑顔を失っていることに気付いてもらえない寂しさがあるからです。不安で寂しいのに、怒ったり泣き叫んで人を遠ざける。そこに人間の悲しさがあります。

仏さま、菩薩さまはつねに静かな微笑みをたたえています。怒り、泣き叫ぶしかない人に「その気持ち分かるよ。私がついているから安心して」と寄り添うための微笑みです。仏さま菩薩さまは人間の悲しさを受け止めてくださいます。人間の悲しさを慈しんでくださいます。悲しさを慈しむ心を「慈悲」といいます。 人間の悲しさを慈しむ時、みなさんの顔にも、仏さまや菩薩さまのような微笑みが浮かんでくるかもしれません。そういう顔を「和顔(わげん)」といいます。みなさんの和顔、追い求めてみませんか。

平成29年 長野市西後町十念寺 袖山榮輝



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