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7.「慈悲喜捨」のこころ

 最近の日本スポーツ界は女性の活躍が目立っています。
記憶に新しいソチ五輪では、スノーボードの竹内智香さんが銀メダル、小野塚彩那さんが銅メダルを獲得しました。

また、浅田真央さんのフリープログラムの演技は世界中に感動を与え、3月の世界選手権では見事優勝を飾りました。

金メダル確実といわれながら惜しくもメダルを逃したスキージャンプ高梨沙羅さんは、その後2年連続W杯チャンピオンに輝きました。

また、サッカーでは、なでしこジャパンがW杯に優勝し、17才以下のサッカー女子W杯でもリトルなでしこが見事初優勝を遂げました。本人並びに関係各位の努力がまさに花開いた瞬間でした。


こうしたスポーツ界における日本女子の多岐にわたる大活躍は、ほんの数十年前にはとても考えられないことでした。一昔前の、女性は家庭を守るもの、という価値観から脱却し、女性が積極的に社会で活躍の場を得るようになってきた今日、私たちは変わることができる、ということを彼女達が示してくれているように感じます。


人は変わることができる、ということはお釈迦様もお説きになっていることです。
とかく人は自分を中心に物事を考えてしまいます。これは、いつの世でも永遠に変わらない、人間のどうしようもない性(さが)というものでしょう。
しかし、それでは本当の幸せは得られない、とお釈迦様はお説きになっています。
自分が幸せになるために、自分のためだけにはたらく道ではなく、他人のためにはたらくことで一緒に幸せになる道へと、私たちを導いて下さっています。それは次の四つのこころとして示されています。


他人を慈しみ、楽を与えるこころ(慈)。
他人の苦を救済するこころ(悲)。
他人に楽があるのを妬まず共に喜ぶこころ(喜)。
ひいきしたり恨んだりする心を捨て、平等に利益するこころ(捨)。


こうした人としてのこころのあり方を、仏教では「慈悲喜捨」と説いています。この四つの心には限界がない(無量)ので、特に四無量心といいます。

これは価値の変換です。「自分が幸せになりたかったら、自分以外の人々を幸せにしなさい。そうすればその人たちと共にいるあなたも幸せになれますよ」と、仰っているのです。そして、「あなたたちはこうした人間に変われますよ」と、教えてくれているのです。これは家庭にも職場にも当てはまります。他人を幸せにすることは自分の幸せを放棄することではありません。他人を幸せにすることこそが、自分の幸せへの近道なのです。


昔話に出てくる、「仏のような人」とは、実は「慈悲喜捨」を実践する人です。いつも優しく思いやりがあり、困った時には手を差し伸べてくれる人、自分のことは後回しにして人のためにはたらいてくれる人、そういう人が「仏」なのです。


最近、幸福度という言葉を耳にします。しかし、幸福度はモノで測れるものではありません。幸せだと感じる瞬間が大切なのです。
「仏のような人」が増えることで、私たちはより幸福を感じられるのではないでしょうか。幸福は、私たちの内側にもうすでにあるのです。その幸福を表に出すことができるのは、私たち一人一人に他ならないのです。


私たちが仏に成ることを「成仏」といいます。この言葉は死と結びつけて捉えられています。しかし、「成仏」の道とは何も死後のことを言っているのではありません。お釈迦様は、今を生きる私たちがどうやって仏に成るか、そして、今、成れないとしても「仏のような人」にどのようにしたら変われるかということを、お説きになっているのです。

私たちは誰でも「仏のような人」になることができるのです。他人に幸せを与え、そして、共に幸せになれるのです。「慈悲喜捨」のこころとはその第一歩なのです。

平成26年 春  柳澤 正志


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